「暑くない」と言う親へ。高齢者の熱中症、家族が気づきにくい理由と、今日からできること

電話で「暑くない」と言われて、安心してしまっていませんか

「エアコンつけてる?」と聞くと、「大丈夫、暑くないから」。
そう言われると、つい安心して電話を切ってしまう。そんな経験はありませんか。

実はこの

「暑くない」という言葉、そのまま信じてしまうのは少し危険です。

高齢になると、体が暑さを感知する力そのものが弱くなるため、

本人に「暑い」という自覚がないまま、部屋の温度だけが上がっている

ことがあるからです。

離れて暮らす高齢の親に電話をかけ、暑さや体調を心配する家族のイラスト

この記事でお伝えすること
1
高齢者本人が暑さに気づきにくい理由
2
家族が注意したい熱中症の静かなサイン
3
エアコンや水分補給を嫌がるときの声かけ
4
訪問看護で確認できる体調の変化

離れて暮らしていると、声の調子や会話の内容で判断するしかありません。
けれど、熱中症の初期は

「なんとなく元気がない」「いつもより返事が遅い」

といった、電話越しには気づきにくい変化として現れます。

この記事では、なぜ高齢者本人が暑さに気づきにくいのか、家族がどんなサインに注意すればよいか、そして「エアコンはもったいない」「水分はいらない」と言う親に、どう声をかければよいかを、訪問看護の現場での視点も交えてお伝えします。

なぜ高齢者は「暑い」と言わないのか

高齢者が熱中症になりやすいのは、我慢強いからでも、鈍感だからでもありません。

加齢によって、体の仕組みそのものが変化するためです。

1

 

暑さを感じにくくなる

皮膚の温度センサーの働きが弱くなり、暑さそのものを感じにくくなります。

 

2

 

熱を逃がしにくくなる

汗をかく力が落ち、体にこもった熱をうまく外へ逃がせなくなります。

 

3

 

のどの渇きが遅れる

のどの渇きを感じにくくなり、水分補給のタイミングが遅れます。

 

4

 

脱水になりやすい

体内の水分量が若い頃より少なく、少しの発汗でも脱水に近づきやすくなります。

 

本人は暑くないと感じていても室温が31.5度になっている室内のイラスト


!

本人が「大丈夫」と言うのは、嘘をついているのではありません。

本当に「まだ大丈夫だ」と感じている

ことがあります。


だからこそ、本人の申告だけに頼らない見守り方が必要です。

 

家族が気づきにくい、熱中症の「静かなサイン」

熱中症というと、汗だくで倒れるようなイメージを持たれがちですが、

高齢者の場合は、目立たない変化から静かに進行することがあります。

こんな変化はありませんか

なんとなく元気がなく、口数が少ない
呼びかけへの反応が、いつもより一瞬遅い
食欲が落ちている、食事の量が減っている
長時間トイレに行っていない、尿の色が濃い
会話の内容がかみ合わない、ぼんやりしている

 

一つひとつは「歳のせいかな」「疲れているのかな」と見過ごされがちなサインです。

しかし、これらが重なっているときは、

脱水症状や熱中症が進み始めている可能性があります。

電話だけでは

声や返事の様子しか分からず、顔色や室温、水分摂取量までは確認できません。

訪問すると

顔色、会話、食事、室温、尿の状態など、複数の変化を確認できます。

 

電話の声だけでは分かりにくいからこそ、帰省したときや訪問したときに、こうした変化がないか意識して見てあげてください。

「もったいない」と言う親に、無理に言うことを聞かせようとしていませんか

熱中症対策で家族が一番苦労するのは、実は知識ではなく、

本人に対策をしてもらうこと

だったりします。

「電気代がもったいないから」とエアコンを使いたがらない。「そんなに飲みたくない」と水分補給を嫌がる。正論をぶつけて説得しようとするほど、かえって意固地になってしまう、という声もよく聞きます。

私たちが訪問の中で大切にしているのは、

「正しさ」で説得するのではなく、本人の気持ちに寄り添いながら、小さな行動のきっかけを作ること

です。

エアコンを使いたがらないとき
×「暑いから我慢しないで、エアコンをつけて」
「今日は湿気がすごいから、少しだけつけておこうか」

エアコンを我慢するかどうかの話ではなく、

「今日の天候に合わせた対応」として伝える

と、抵抗感が和らぐことがあります。

水分補給を嫌がるとき
×「熱中症になるから、もっと水分を飲んで」
「私も飲むから、一緒に一杯だけ飲みましょうか」

義務として勧められるよりも、

一緒にする行動として誘われる方が、受け入れてもらいやすくなります。

電気代を心配しているとき
×「電気代より命の方が大事でしょう」
「倒れて病院に行く方が負担になるから、暑い時間だけ使ってみようか」

頭ごなしに否定するのではなく、熱中症で救急搬送された場合の医療費や、体力の回復にかかる時間の方が負担になり得ることを、

責めずに、穏やかに伝えます。

正論で押し切るのではなく、

本人の価値観を否定しない伝え方を選ぶこと。

これは、私たちが日々の訪問の中で意識していることの一つです。

それでも心配なときは、家族だけで抱え込まなくて大丈夫です

離れて暮らしていると、どれだけ気をつけていても、毎日の小さな変化に気づくことは簡単ではありません。同居していても、仕事や家事の合間に、常に目を配り続けるのは大変なことです。

訪問看護では、定期的なご自宅への訪問の中で、体温や水分量といった数値だけでなく、

顔色や会話の様子、食欲など、ご本人が言葉にしない変化

にも目を配っています。

訪問看護師が高齢者と会話し、普段との小さな違いを確認しているイラスト

1

 

身体の状態

体温、血圧、脈拍、水分状態などを確認します。

 

2

 

生活の変化

食事、水分、排尿、室温、睡眠などを確認します。

 

3

 

言葉に出ない変化

顔色、会話、反応、普段との違いにも目を配ります。

 

ご家族が気づきにくい「静かなサイン」を、

専門的な視点で確認できることも、訪問看護を利用する意味の一つです。

「まだ介護というほどではない」と思う段階でも、ご相談ください

「この夏だけでも、誰かに見てもらえたら安心」という段階でのご相談も承っています。

ご本人の体調や生活の様子に少しでも気になる点がありましたら、

ご家族だけで抱え込まず、お気軽にお問い合わせください。

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